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富士ゼロックススーパーカップ 鹿島vs浦和 「新ミシャ式、試運転の成否」

2017/02/20 18:34配信

武蔵

カテゴリ:マッチレポート

新シーズンの始まりを告げるのは

いつも決まってこの富士ゼロックススーパーカップです。

とかく過密日程が問題となる昨今のJリーグですが

このスーパーカップの存在で、シーズン最序盤の2月にして早くもそれが発生します。

鹿島、浦和ともに、このあと中2日でACLが控えており

特に浦和はシドニーでアウェイマッチを戦うスケジュールとなっています。


それにより、特に浦和はこの試合で主力を温存してきており

それは戦術や、勝敗に大きく関わることとなりました。


イタリア・セリエAでは、プレシーズンを長く確保するために

当該リーグ戦を延期してまで、スーパーカップを年末に行います。

1年365日という日数と、こなすべき試合数は決まっているため

どうしてもイタチごっこのようにはなってしまいますが

出来る工夫が無いワケではないということです。

「新ミシャ式」が上手くいかなかった理由

タイトルが懸かっているとはいえ、本番を迎えるのは、まだもう少し先です。

賞金総額5000万円で、優勝賞金は3000万円。

従って、この試合で敗れても2000万円が貰えるとあれば

どうしてもこの試合は、試運転の色が濃くなるのは仕方ありません。


浦和は柏木陽介、槙野智章、興梠慎三といった主力を温存しました。

特に前者2人はベンチ外となっています。

ただ、この試合の浦和の試運転ぶりというのは、先発メンバーだけの話ではありません。

この日の試合は、新しい戦術のお目見えとなったのです。

この日の浦和のビルドアップは、初めは325を志向しました。

現在、欧州で流行を見せている3バック+2ボランチでのビルドアップですが

従来のミシャ式、スタート時3421、ポゼッション時415との親和性は高く

415と325の違いは、ボランチが最終ラインに落ちるかどうかの違いです。


むしろ、ボランチが最終ラインまで落ちる時間を節約でき

攻→守の切り替え時には危険となるエリアに2ボランチをそのまま置けます。

問題は、それらのメリットを持つシステムが浸透しているかどうか、になります。

元々、ミシャ式というのは日本式の442を崩すために導入されたことを考えてみても

鹿島の442を相手としたこの日は、絶好の試運転の機会と言えました。



しかし、この日の浦和は問題を抱えていました。

浦和の得意なパターンである、前線3枚が落ちてのワンタッチ、フリックによって

ゴールに迫るというプレーがあまり見られませんでした。


これは、このプレーの肝となる柏木と興梠が不在であったこともそうですが

とにかく、縦パス、チャレンジのパスが不足したことにあります。

確かに鹿島の442、2ボランチと2CBの、前に出ての迎撃守備は見事でしたが

浦和の325が、鹿島の442を攻略するための攻撃を繰り出せなかったのは

システムが浸透していないことによるチャレンジ不足に原因があります。

「新ミシャ式」を貫徹できなかった浦和の今後は?

「うちの3バックが思ったとおりにならなかった」(ペトロヴィッチ監督)ことで

浦和はシステム変更を余儀なくされます。

それは、慣れ親しんだ415への一時的な変更となりました。


実際、その直後には左WBの菊池大介にボールが入り

そこからワンタッチでクロスが入ると、武藤雄樹に繋がりました。

これは菊池がオフサイドでしたが、その後もスラタンのシュートに繋がるなど

415ではサイドにもスムーズに入り、攻撃を円滑に進めることができそうでした。



ただし、これはあくまで試運転・・・とばかりに浦和は325を試します。

そして、この試運転が「全タイトル獲得」に燃える鹿島の餌食となります。


FKでの失点後の前半40分、325から組織的にボールの運べない浦和は

左CBの宇賀神友弥がドリブルで持ち運び、菊池とのワンツーを試みますが

レオ・シルバにカットされ、カウンターを食らいます。

この切り替えでレオ・シルバを潰せないでいると

素早く切り替え、残る2枚ではカバーできないファーに進出した土居聖真に繋がり

トラップで時間が掛かったものの、バーに弾かれる惜しいシュートとなりました。

鹿島の2点目は同じくカウンターからです。

325、宇賀神から菊池、そこからズラタンへワンタッチでのクロス。

そのセカンドボールを拾おうと、浦和の2ボランチが前掛かりになり

その空いたスペースでペドロ・ジュニオールが起点となり、スタートしました。

鹿島の両サイドハーフとレオ・シルバは切り替えが早く

浦和のDF陣を置き去りにし、2度のフィニッシュの片方をゴールに結びつけました。


浦和の325は鹿島にとって格好の餌食となっていました。

この場面においては、バランスを崩してしまったことがその要因となりましたが

それは、先に挙げた325化のメリットが不発となったと言えるものです。

後半開始から、浦和はしっかりと415を形成する時間が長くなりました。

これにより後方でのポゼッションが安定し、保持率と落ち着きを取り戻しています。


興梠の投入、関根貴大と長澤和輝の投入

また、阿部勇樹の左CB化もあり、浦和は同点に追い付くことができましたが

それは、ひとえに415で安定化させることができたからでしょう。


問題は、これで良いのか?ということです。

この試合でやりたいことを浦和はできたのかどうか?ということです。


間違いなく、ペトロヴィッチ監督はミシャ式を加速させ

欧州基準を導入した、この325を浦和に持ち込むつもりでいます。

しかし、この試合では上手くいきませんでした。

そしてこの試合で分かったことは、主力を欠いた325が上手くいかなかったことです。

この試運転の機会で、主力を用いた325を試すことができなかったということです。


これでシーズンインとなる浦和にとって、これはどのような影響があるでしょうか?

少なくとも、負けは負けでも収穫は多かったと言えるような試合ではなかったでしょう。

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