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清武の不幸な移籍はなぜ起こったか

2017/02/07 18:20配信

武蔵

カテゴリ:コラム

今オフのストーブリーグも終幕を迎えつつありますが

それは、欧州主要リーグの登録も締め切られたからであります。

登録、つまり補強ができなくなると、当然、放出も制限せざるを得ないからです。

つまり、戦力を入れられなければ、戦力を出せないということになります。

登録期限が締め切られたあとに放出要員となるのは

よほどの余剰人員でなければあり得ない、ということになります。


話題をさらったガラタサライのポドルスキの、神戸への夏の加入が報じられるなど

移籍マーケットとしては、早くも次のウインドウに焦点が当たっています。

今オフも様々な動きがありましたが、今回の移籍市場は

全てのことが上手くいった・・・とは言えないものとなりました。

当然と言えば当然なんのですが、それが日本代表というカテゴリにおいては

特にネガティブな話題が続いたと言えるでしょう。


その中でも、蹉跌を味わう本田圭佑の残留や、柴崎岳や齋藤学のすったもんだよりも

清武弘嗣の帰国、C大阪復帰がそれに当たると言えます。

今回の清武の移籍は、今オフの最大のサプライズは、なぜ起こったのでしょうか?

清武J復帰への流れ

セビージャの清武が、C大阪への帰還を果たしました。

その移籍金は600万ユーロにも及ぶと言われ、文字通りビッグディールとなりました。

ただ、この移籍はやはりポジティブなものとは言い難いでしょう。

それは、日本代表のレギュラーが、Jリーグでのプレーを余儀なくされたからです。


清武は2016/17シーズンより、ドイツ・ブンデスリーガのハノーファーから

スペイン・リーガエスパニョーラのセビージャへと完全移籍を果たしました。

700万ユーロもの大金が動いたと言われており

清武に対する、内外からの期待は大きいものがあることを窺わせました。

ただ、ここから状況は二転三転します。

契約を残していた、ウナイ・エメリ監督が職を辞し

フランス・リーグアンのパリサンジェルマンに引き抜かれると、当然、構想はリセット。

その後任にホルヘ・サンパオリ監督が就任したことはともかく

問題は、そこから清武と同じポジション、同じ役割と言える

サミル・ナスリとガンソを獲得したことです。

これにより、清武は熾烈なポジション争いを余儀なくされることとなりました。


この中で抜きん出たのはナスリでした。

マンチェスター・シティからローン移籍で加入したナスリは

さすがにメガクラブでレギュラー~淳レギュラーを張っていただけの才能を見せ

初め4312のトップ下、現在は4141のインサイドハーフとして

ビルドアップからフィニッシュまでを一手に担う、チームの中心となりました。


清武にとって、このナスリは相手が悪かったとしか言いようがなく

また、インサイドやサイドハーフでは守備の強度が足りず

結果として、出場機会を失っていったというのがスペインでの顛末です。

早速、冬の移籍市場では、出場機会を求めて移籍を模索します。

しかし、清武とセビージャとの4年契約は半年を消化したに過ぎず

セビージャからハノーファーへ支払われるべき700万ユーロのうち

650万ユーロが未払いと言われているということもあり

清武放出の際の基準額がそのあたりに設定されるのは仕方のないことです。


つまり、清武の今冬での移籍の焦点は、今回の放出に際して

セビージャが清武に投下した資金をどれだけ回収できるか

ということになってしまったということです。

それ故に、移籍先を探す作業は難航することとなってしまいました。


最も理想的と言えたデポルティボは、財政的に真っ先に跳ねられ

古巣と言えるブンデスリーガのクラブも次々と撤退していきました。

その中でもマインツは、ユヌス・マリの後釜として清武を狙いましたが

600万ユーロとも言われるオファーも退けられました。

この後、マインツはボージャン・クルキッチを獲得して、冬補強を終えました。

最後はアメリカMLSのシアトル・サウンダーズが手を挙げましたが

この時点で清武は、Jリーグ復帰を決意していました。

C大阪は、マインツと同じ600万ユーロを捻出したとのことです。

清武は決して戦力外ではなかったが・・・

セビージャはチャンピオンズリーグ(以下CL)を残しています。

そのCL1回戦の相手がレスターであるということもあり

勝ち残っていく可能性が十分にあります。

従って、現在3強を割っての3位であるリーグ戦との

ターンオーバーが行われる可能性は高く

ここまで、開幕2戦以降は国王杯やCL明けのリーグ戦での出番が多かった清武に

出場機会が巡ってくる可能性は少なからず存在していたと言えます。


そんな、戦力外ではない清武を出すのであれば

セビージャとしても、代わりを補強せねばなりません。

しかも、それがいつまでかというと、登録期限である1/31までに。


白羽の矢が立ったのはロサリオ・セントラルのワルテル・モントーヤです。

しかし彼はEU外枠扱いとなる選手でした。

セビージャがEU外枠扱いとなる彼を獲得し、今季のリーグ戦で起用するには

同じくEU外枠である選手を、登録期間内に放出する必要がありました。

それが清武であったということです。


清武が戦力外ではないと言える材料はもう1つあり

それは、地元サポーターによるアンケートです。

同ポジションであり、同じくEU外枠、そして出場機会に恵まれない選手である

ガンソと清武のうち、どちらを残してほしいかというものでしたが

そこで清武は、ガンソの3倍の支持を集めています。


確かに清武は出場機会を求めていました。

しかしそれ以上に、清武は売りやすかった

つまり、需要があったからこそ放出が叶ったということは、確実に言えます。

清武の移籍は日本代表にどのような影響を与えるか?

清武はリーガで通用しなかったワケではないのです。

リーガで優勝争いをするチームで通用しなかったというだけのことです。

ただ、それは慰めに過ぎず、チーム事情や金銭面のこともあり帰国の途に就きました。


今回の移籍を日本代表という視点から見てみると

デメリットの部分が多いということは、否めません。

A代表のレギュラー、しかもチームの中心たるトップ下の選手が

リーガ・エスパニョーラやブンデスリーガではなく

プレー強度、戦術レベルで劣るJリーグでプレーすることは

日本代表が目指す地位を考えれば、マイナスとしか言いようがありません。

何より、本人の向上心を刺激できるかどうか、微妙なところがあります。



磐田の中村俊輔は、清武J復帰の報を聞き、絶句したとのことです。

自身もスペインで辛酸を味わい、移籍から半年でのJ復帰となりましたが

その時の立場は、現在の清武と同じく、日本代表のレギュラーでありました。


結局、中村はJ復帰をするも、コンディションは回復したとは言えず

その年の南アフリカW杯では、大会直前のチームの戦術転換もあり

W杯の450分のうち、9割以上においてベンチを温めることとなりました。

いったい、清武はどうなることでしょうか。

早ければ3月、日本代表にとっての大一番であるUAE戦で、その答えが出ます。

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