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J1昇格プレーオフ決勝 C大阪vs岡山 「勇気がなかった岡山」

2016/12/06 17:51配信

武蔵

カテゴリ:コラム

今年で最後となる見通しのJ1昇格プレーオフも、残すところ決勝だけです。

2016年のJリーグを締めくくる一戦となりました。


今年は4位のC大阪と、6位の岡山の対戦です。

準決勝と同様に、90分終えてのスコアが同点の場合は上位チームが勝ち抜け

つまり、J1昇格を決めることができます。

舞台は、C大阪にとっては準決勝に続いてのホーム

そして、準決勝に続いての雨のキンチョウスタジアムです。



C大阪は準決勝の京都戦と全く同じ先発11人、ベンチ入り18人です。

京都戦では、ボールを持ちたい京都に対する積極的な守備と

それを支える運動量、選手起用が当たりましたが

この日の岡山相手ではどうなるでしょうか。


岡山の先発メンバーにおける注目ポイントは押谷祐樹を欠くことです。

このチーム得点王を欠くため、切り札の豊川雄太が先発しました。

ここがどう影響してくるでしょうか。

前半は共に思惑どおりのスコアレス

岡山の長澤徹監督が言うには

「終盤まで、1点取れば勝てる状態を保つ」ことが岡山のプランでした。

そのとおり、岡山は攻撃にあまり人数を掛けず

守備も前から追っていく、というようなことは見せませんでした。


できるだけ同点のまま試合を推移させ

後半、もっというと終盤の、相手にプレッシャーのかかる時間帯に

相手を守りに入らせ、押し込むという戦略だったようです。


もちろん、点が取れればそれに越したことはないのですが

それはセットプレーなど、機会は限られたものでした。

それでも前半37分には岩政大樹が決定的なヘディングシュートを放つなど

セットプレーからでも、可能性は示していました。



同点で良いのはC大阪も同じです。

こちらは同点、0‐0でも勝ち抜け、J1昇格が決まります。

こちらも避けたいのは、主にカウンターを食らうことですので

あまり人数を掛けて崩す、というよりは

岡山の守備ブロック、541の空くスペースである1トップの後ろ

2ボラの前のスペースから、ソウザがミドルシュートを打つという場面が目立ちました。

なお、ソウザは前半だけで6本のミドルシュートを打ちました。


C大阪にとって、人数を掛けずに攻撃をやり切ることが

この試合のこの前半においては、特に重要なことでした。

後半立ち上がり、岡山は勝負を懸けたがセットプレーで失点

岡山は3421という表記を受ける布陣ですが

ボール保持時には3142のような形となります。

矢島慎也、関戸健二の2ボラに、伊藤大介が降りてくることで3センターとなり

それと入れ替わるようにWBは高い位置、相手のSHとSBの間まで出て

チームの横幅を出す役目を負います。


この3142は、一般的に442の急所に選手を出しやすい仕様とされており

442で守るC大阪相手には、相性が良い布陣と言えました。


リスクを第一に考えた前半は、なかなか良さが出ませんでしたが

前半33分には、その急所である2トップ脇から中のインサイドハーフを使い

そして、そこから左への大きな展開で

フリーだった左WBの三村真のコントロールさえ上手くいけば・・・

という場面を作り出しました。


岩政は試合前

「C大阪は予算が岡山の3倍」

としましたが

その差をカバーできる余地のある戦術を見せました。

そして、後半立ち上がりです。

左サイドで三村がボールを持つと

C大阪はソウザと山口蛍の間のスペースをポッカリと空けてしまいます。

そのスペースに入ってきた矢島がパスを受け、2人を引き付け

それによってまたしても出来た、広大なハーフスペースに入ってきた三村が決定機。

その直後にも、セットプレーの流れから豊川のヘディングが枠を捉えますが

ともにキム・ジンヒョンのセーブに遭います。


岡山は後半立ち上がりから、前述の3センターが行動範囲を広げ

サイドや敵陣億深くまで侵入するようになりました。

この後にも、矢島が右サイドに開き、相手2トップ脇で起点となると

サイドチェンジを敢行し、相手の布陣を引き伸ばしにかかるなど

得点を取るという強い気持ちを感じさせる変化を見せました。



しかし、この試合初めてと言っても良い岡山ペースと言えたこの時間帯に

C大阪がセットプレーで先制するというのは

岡山にとって不運としか言いようが無いものでした。


ただ、負けに不思議の負け無しとは言いますが

それと同じように、失点に不思議の失点はありません。

この失点は、CKでの岩政のクリアミスが清原翔平の下にこぼれたものであり

そしてこれは、岩政がソウザのマークを外してしまったことが発端ですので

結果的に失点の原因は岡山にあると言われても仕方がありません。

勇気が足りなかった岡山

岡山は2点が必要となってしまいました。

しかも、攻撃に出て、優位に進めていた矢先での失点です。

理屈でいえば、変わらずに布陣の優位性を生かして攻撃したいところですが

ピッチ上の現象だけを見れば、岡山には失点による精神面での影響がありました。


実質1.5点のリードをしたC大阪相手に、岡山はボールを持つ時間帯が増えます。

しかし、442相手にシステム上の優位があると言える3142を擁しながらも

岡山はなかなか思いどおりにボールを運ぶことができません。

これは、予算の差による選手の質と見ることは可能でしょう。

しかし、それ以上に勇気が足りないように見える場面が目立ちました。


3センターは矢島を中心に、2トップ脇、2トップ裏あるいは相手ボランチの牽制と

役割を入れ替えながら、適切な位置取りをし続けたように思えます。

ただ、出だしである3バックからそこへ入る機会があまりにも少なく

サイドのCBから同サイドWBへ、しかも相手SBではなくSHの前に出すことが多く

それは酷く消極的なプレーとしか映りませんでした。


また、C大阪も運動量豊富に守備を続けました。

避けたいWBからの外→中を封じるには、2トップの献身的な動きが必要となります。

澤上竜二は準決勝に続いて労を惜しむことなく動き続け

また、柿谷曜一郎も、コンディション不良が囁かれる中

強い気持ちを見せて攻守シームレスに動き続ける場面が目立ちました。


ただ、この時間帯の岡山は、あまりにも歯痒い場面が続きました。

これでは、後半30分を前にしてパワープレーを始めてしまったのも

やむを得ないと言えるものだったかもしれません。


このパワープレーも決定機を作るには至りませんでしたが

この勇気のないポゼッションよりはマシだったかもしれません。



試合は、岡山のパワープレーをはじき返し続けたC大阪が

そのままスコアを動かすことなく勝利しました。

C大阪は、シーズンで勝ち取ったアドバンテージを生かし

バランスをできるだけ崩さずに戦い、セットプレーで得点を挙げ

岡山のパワープレーには個の力を存分に生かし、勝利しました。

準決勝の速いプレスとともに、まさにやれることをやったという印象で

昇格プレーオフというトーナメントを勝ち切るに相応しいチームでした。


もともと、現役日本代表である山口蛍を筆頭に戦力は揃っており

また来季は監督として尹晶煥氏の招聘が噂されているなど

3年ぶりのJ1も楽しみが持てるチームと言えるでしょう。



岡山にとっては残念な結果となりましたが

セットプレーでの失点と、その後のポゼッションの拙さもあり

来季、J1で戦えるチームではなかったと思います。


来季へ向けて、またチームの技術面、精神面の強化が必要となるでしょう。

ただ、矢島や豊川、赤嶺真吾などレンタル組の動向は不透明であり

全くの出直しを余儀なくされる可能性もゼロではありません。


来季は昇格プレーオフが廃止となり、入れ替え戦が復活することもあり

J1昇格のためには、最低でも3位に入る必要があります。

そのため、岩政が挙げた予算の話題も、より切実なものとなります。

岡山のチーム人件費は、今年のJ2において8位です。

岡山がJ1を視野に入れるためには

それも含めた、より一層のクラブ全体の強化が必要となるでしょう。

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